代理店が無断で分装販売したのは商標侵害に該当するのか
純正品を分装し、ラベルを貼って再販売することは、必ずしも消費者に商品の出所を混同させるとは限らないが、商標侵害を構成する可能性もあるのではないか。以下の事例は一定の参考価値がある。
原告の漢某株式会社は「楽泰」シリーズの商標権者であり、その商標は認可を受けて接着剤等の製品に使用されている。被告の深セン市漢某実業公司および深セン市洛某商貿公司はいずれも原告の授権販売店(正規代理店)である。2019年末、上海市公安局浦東分局は被告らの倉庫で19万枚以上のラベル(明確に対応する型番は50種類)、各種楽泰ブランドの接着剤約2000本、12箱分の製品を押収した。原告は公安局に対し、これらの押収品に関する鑑定結果を提出し、その中の一部の製品が本物の分装品ではないと判断した。
民事訴訟において、原告はこれを根拠に、被告らが商標権を侵害したと主張した。一方、被告らは、製品はすべて原告から購入した純正品であると反論し、原告が実際に抜き取り検査を行っていない状況で鑑定報告を作成したことは手続き上違法であり、証拠として採用すべきではない主張した。さらに、原告の純正品を分装販売したのは顧客の要望に応じたものであり、それに添付された原告の商標ラベルは被告が自ら作成したものであるが、これによって消費者が混同することはなく、商標侵害には当たらないと述べた。
広東省深セン市福田区人民法院(以下、「福田法院」)は審理の結果、以下の事実を認定した。2018年、原告はすべての販売店に対し、「販売店包装変更授権及び品質保障政策」というメールを送信し、以下の特定の条件に適合しない限り、販売店による包装変更や分装を許可しないと明示した。包装変更や分装が必要な接着剤は原告から直接購入する必要がある。販売店は、分装の意向を原告に通知する必要があり、原告は自ら分装に承認するか否かを決定する権利を持つ、すべての包装変更は原告の販売店が完了しなければならない、包装を変更する必要がある接着剤は原告が提供していない包装サイズの場合のみ、原告の書面による明確な承認がない限り、分装製品は原告の品質保証を受けられない。このメールの内容は、被告らにも送達されていたことが確認された。
被告らは弁明の関連事実を証明するため、原告とのメールのやり取り、購入販売契約書、2016年~2019年までの仕入れ統計表、購入販売証拠、業界規定などを提出したが、上述の証拠は事件にかかわる押収製品の型番、数と一つ一つ対応できず、事件にかかわる押収製品の分装が原告の明確な許可を得たことも示されていない。
福田法院は、以下のように判断した。係属中の証拠は原告の鑑定サンプリングプロセス、鑑定方法等が厳格で規範的であること又は当該製品の鑑定要求に合致していることを証明することが困難であり、その鑑定結論は原告の一方的な主張に過ぎないため、事実認定の根拠とすべきではないと判断した。押収製品が原告製品の模倣であるという原告の主張については、支持しないべきである。
被告の分装・ラベル貼付行為が商標権侵害に該当するかについては、福田法院は、まず、被告が分装した製品に原告の商標を貼付したのは、その目的が当該製品が原告に由来することを示すことにあり、商標としての使用に該当すると判断した。次に、原告と被告は代理関係にあり、原告は代理店が特定の状況下でその製品の分装を行うことを許可しているが、原告の許可を得て、かつ原告の要求に従って行う必要がある。原告の当該要求は、分装製品の品質が原告が提供した原始製品の品質と一致することを確保することを目的とするとともに、分装製品も原告に由来することを示すことを目的としている。被告は原告の許可を得ない状況下で、無断で分装し、自ら作成した原告商標を貼付したが、一方では、係争製品は接着剤製品であるため、製品の性能は温度、湿度、光線等の要素の影響を受けやすく、無断で分装すると製品の性能、品質の変化を引き起こす可能性が極めて高く、原告商標の品質保障機能を損なう。また、、被告が分装した製品に貼付した原告商標は被告が自ら作成したものであり、原告の純正品はより洗練された商標様式であり、それに比べ、被告が使用した商標は材質、外観は明らかに劣悪であり、原告商標の広告宣伝機能も損なう。
福田法院はこれに基づいて、被告らが販売したのは模倣品ではないが、無断で商標を分装して貼付する行為は、既に原告の製品包装又は分装の変更に関する要求に違反しており、原告の商標の品質保障機能及び広告宣伝機能を損なうものであり、商標侵害を構成し、二被告に原告の経済的損失及び合理的支出計20万元を賠償するよう判決した。広東省深セン市中級人民法院は第二審で原判決を維持した。
(中国知識産権紙より引用編集)
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