ユニクロ、「権利侵害していない」と判決
最近、広州知的財産裁判所は、広州羅針盤展示サービス有限公司（以下、コンCompassと称す）および広州中唯企業経営コンサルティングサービス株式会社（以下、Zhongweiと称す）が有名な衣料品ブランドUniqloの中国での販売業者であるファーストリテール（中国）商貿有限公司（以下、ファーストリテイリングと称す）、広州百信プラザストア（以下、ファーストリテイリング百信プラザ）に対する上訴件について、商標権侵害の第二審の判決を下した。登録商標の商標専用権を侵害していないという一審の判決を維持した。
Compass社は2004年7月に設立され、経営範囲には展示会企画や展示会機器レンタルなどが含まれる。中唯社は、2005年4月に設立され、主に経営管理コンサルティング、企業イメージデザイン、商標代理業務などを運営している。 2012年3月14日、Compass/Zhongweiは、工商行政管理局商標局に対し、商標登録番号第10619071号()で係争商標を共同で申請し、第25類の靴、帽子などの指定商品における使用が承認された。
2006年12月にファースト・リテイリングとして設立され、その株主は日本ファースト・リテイリング（以下日本ファースト・リテイリングと称す。）である。 日本ファーストリテイリングでは、1995年に「ユニクロ」登録商標No. 791494の商標専用権を取得、2003年に第3012401号「優衣庫」などの登録商標の商標専用権を取得した。ファーストリテイリングは、日本ファーストリテイリングの商標許諾使用権を得て、経営の過程で「ユニクロ」、「ユニカリ」、ロゴマークを使用し、関連商品の宣伝を行っている。
Compass/Zhongweiは、以下のように主張した。
ファーストリテイリングとファストリテイリング百信プラザによって生産販売され、商品のロゴが、係争商標と同じである。 また、被疑侵害のロゴは、衣類などの関連商品に使用されており、係争商標の登録商品と同じであり、商標権侵害である。 したがって、Compass/Zhongweiは、ファーストリテイリングとファストリテイリング百信プラザを相手取り、広東省広州市白雲区裁判所に提訴した。裁判所は審理の後、被疑侵害商標は商標専用権を侵害するものではないという一審判決を下した。Compass/Zhongweiは第一審判決を不服とし、広州知的財産裁判所に上訴した。
広州知的財産裁判所は、以下の見解を示した。
本件紛争の争点は、係争商標が商標権侵害にあたるかどうかである。それにより以下の判決を下す。
商標と係争商標とはそれぞれ違ったものであり類似ではない。関連公衆の注意力の観点から、それぞれの商標の発音、形状、意味において一定の差異がある。第二に、実際に権利者の登録商標使用の観点から、Compass/Zhongweiは、本件が起訴された時点では、商標登録承認から1年未満であり、係争商標の周知性に関する証拠は提出されなかった。 ファーストリテイリングカンパニーとファーストリテイリング百信プラザは、起訴された時点で既に同区分で登録された「ユニクロ」商標を使用している。 「UNIQLO」シリーズ商標は、長期間の経営において市場で認知されており、市場での周知性と識別性を備えている。
株式会社ファーストリテイリングとファーストリテイリング百信プラザは、被疑侵害ロゴの左端と「UNIQLO」シリーズの商標を組み合わせて指定商品において使用し、長期間使用することにより、強い識別性と市場における名誉を得ている。 市場での誤認混同を招くことはなく、主観的な係争商標の不正な「ただ乗り」行為の意図があると判断するのは困難である。 また、「UNIQLO」の商標を高い周知性をほこる「UNIQLO」商標と併せて使用することで、関連消費者はその商品の出所を特定することができ、商品を購入する際にその出所の誤認混同を引き起こしたり、詐欺的な誘導を招くようなことはない。
これに基づき、広州知的財産権裁判所は、Compass/Zhongweiの提訴理由は認められず、ファーストリテーリングとファーストリテイリング百信プラザは権利侵害をしていないと判断した。
（SPTLからの注釈：Uniqloで使用されている被疑侵害ロゴはであると考える。実際には、双方は同じ内容での訴訟を全国各地で展開しており、大多数の裁判所では類似しないため権利侵害していないとの判決を下している。しかし少数の裁判所では権利侵害しているとの判決を下しているが、実際には係争商標は使用されていないため賠償金の支払いは命じられていない。）
（国家知的財産権新聞より改編）
