ワイス(Wyeth)への全額賠償が支持された
米国ワイスカンパニー(以下、ワイスカンパニーという。)は広州恵氏宝貝母嬰用品有限公司(以下、広州恵氏社という。)に対する商標権侵害訴訟及び不正競争訴訟で一審で勝訴した。杭州中級人民裁判所(以下、杭州中裁という。)はワイスカンパニー及びワイス上海(ワイスの関連会社)による3000万元の賠償請求を支持した。
ワイスは1926年2月4日に米国で設立された、乳幼児粉ミルクの研究、開発、製造、販売におけるグローバルリーダー企業である。「恵氏(訳者注:「ワイス」は中国語で「恵氏」と訳されている」や「Wyeth」などの商標の権利人でもある。1980年代以降、「Wyeth」商標を使用した乳幼児用調製粉ミルク製品で中国市場に進出し、ワイス上海貿易有限公司(以下、ワイス上海という。)などの関連会社に商標「恵氏」、「Wyeth」の使用を許諾した。長期にわたる宣伝と使用を経て、「恵氏」および「Wyeth」商標は、乳幼児粉ミルクなどの製品で高い評価を獲得している。
広州ワイスは2010年に設立された企業であり、ここ数年では「恵氏」、「Wyeth」、「恵氏ライオン」のロゴが入った母子育児用品などを大規模に生産・販売しているだけでなく、冒認出願、第三者からの権利譲渡などの方法でトレイタリー用品などの区分に「恵氏」、「Wyeth」などの商標を登録した。広州ワイス社はさらにプロモーションで、ワイス社とは提携関係がある、とほのめかした。広州正愛日用品有限公司(以下、正愛社)、杭州単恒母嬰用品有限公司(以下、単恒社)、青島恵氏宝貝母嬰用品有限公司(以下、青島恵氏社)は広州恵氏社の許諾を受け、広州恵氏社から委託された商品をオンラインストアで販売している。広州恵氏社と正愛社の株主である陳澤英氏は、正愛社、青島恵氏社の株主であり、広州恵氏社の株主、取締役である管暁坤とは元夫婦である。また、広州恵氏社と単恒社とも関連性がある。さらに、管暁坤は香港で「恵氏」、「Wyeth」などの商標を譲渡するための「恵氏中国有限公司」を設立した。
ワイスカンパニーとワイス上海は杭州中裁に提訴し、広州恵氏社を含める6人の被告に商標権侵害及び不正競争を停止し、経済的損失に対して3000万元の懲罰的賠償を主張し、合理的費用として55万元を主張した。
杭州中裁は審理を経て、6人の被告が生産・販売した被疑侵害製品及びそのパッケージとパンフレットには「Wyeth」、「恵氏」、「恵氏ライオン」を使用し、ウェブサイトで宣伝するのは、類似商標にワイスカンパニーの登録商標と同一または類似の商標の使用だと見なされ、需要者に商品の出所を誤認混同させ、ワイスカンパニーが所有する登録商標「Wyeth」、「恵氏」の専用権を侵害した、と判断し、青島恵氏社は「恵氏」を企業名として使用したのは不正競争だと見なされるべきであると判断した。
賠償額については、杭州中裁は原告商標の知名度が高い、被告がワイスののれんをただのりするのも、ブランド名を使用したのも明らかに悪意がある、被告の侵害が長期間続いている、関連地域が広い、侵害の規模が大きい、状況が深刻である、係争製品は乳幼児の健康と安全に関するものである、などの状況を総合的に鑑み、各被告の賠償額を懲罰的賠償の標準で計算した。計算の結果として、オンラインショップによる販売額も、販売代理店による販売額も、広州恵氏社の地域マネージャーが自己申告した販売額のいずれも1,000万元を超えた、と判明した。従って、杭州中裁は侵害による利益の3倍で賠償額を計算し、ワイスカンパニーとワイス上海の賠償請求を全面的に支持し、これまで江蘇省でもっとも高額である懲罰的損害賠償額を判決した。
(杭州中裁の情報より引用編集)
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