「王者栄耀」商標訴訟に第一審判決を下す
2020年6月17日に北京知的財産裁判所は「王者栄耀」という商標権の無効審判行政訴訟に対し第一審の審理を終了し、第18379954号の登録商標「王者栄耀」(以下、係争商標という。)はゲーム「王者栄耀」の権利を侵害したため、被告に元裁定を取り消し、新たに裁定を下すよう命じた。
2018年6月19日にテンセントテクノロジー(深セン)有限公司(以下、「テンセント」という。)は係争商標に対し無効審判を請求した。国家知的財産局は、係争商標と引例とは類似商品においての類似ではないため係争商標の登録はテンセントの著作権を侵害しておらず、「中華人民共和国商標法」(以下、商標法という。)の第44条第1項の規定に該当しない、という理由で係争商標を維持する裁定を下した。テンセントは復審裁定を不服として、北京知財裁判所に提訴した。貴州問渠成酒業有限公司は第三者として訴訟に参加した。
係争商標を商標として関連商品に登録したのは「王者栄耀」という著作物の既存権利を侵害する、そのため商標法第32条の規定に違反した、と原告が主張した。原告はさらに係争商標の登録には明らかな悪意があり、冒認出願で不正な商標利益を得ようとする意図があると主張した。したがって、被告に元裁定を取り消し、新に裁定を下すよう命じるべきだと裁判所に主張した。
北京知的財産裁判所は審理を経て次の見解を示した。ゲーム「王者栄耀」は2015年10月23日に発表され、10月26日にリリースされたゲームである。係争商標の出願日は2015年11月19日で、時間差はたった1ヵ月にもならなかった。原告が提出した関連証拠によると、「王者栄耀」はリリースされた当時から高い注目度を集めていた。オンラインのゲーム製品のライフサイクル、マーケティングプロモーション戦略、ユーザーの規模、プレーヤー集団、ネットワーク効果などの特徴を総合に考えると、係争商標の出願日前にゲーム「王者栄耀」はリリース当初から既に高いヒット数と注目を集めており、高い知名度を獲得していたと認定されるべきである。「王者栄耀」のゲームタイトルとして需要者によく知られており、この知名度の獲得は原告の創造的な努力の結果であり、その商業上の価値とビジネスチャンスも原告が投入した大量な労力と資金によって得られたものである。
北京知的財産裁判所はゲーム「王者栄耀」は日常のエンターテインメントに属していると認定したが、ゲームの関連製品としてドリンク、食品、日用品なども含まれるのはゲーム業界では一般的である。実際に原告はマクドナルドなどの他の企業と協力して多くの製品を開発したことを証明する証拠も提供した。よって、ゲーム「王者栄耀」の知名度は既に日常生活にも浸透している。
係争商標である「王者栄耀」はゲーム「王者栄耀」と同じであるため、標章としては一致している。係争商標が登録した第33類「フルーツワイン(アルコールを含む)、白酒、ワイン」などの商品も日常生活における商品である。これらの商品の需要者はゲームユーザーと重ねる部分が大きいため、商標として白酒などの商品に登録・使用するのは原告の商品もしくは原告とは特定の関連性がある商品と誤認混同させやすい。
第三者は係争商品が登録した商品を販売する際に、ゲーム「王者栄耀」が獲得した市場での評判を借用した、もしくはその商業的利益を不適切に損なったに違いなく、係争商品が登録した商品の出所を既存の著作物の所有者と需要者に誤認混同させ、著作物の所有者が既存の著作物のタイトルによる市場での優位性とビジネスチャンスを減じた。
北京知的財産裁判所はさらに、被告が係争商標を登録する際にゲーム「王者栄耀」を知っているはずだと認定した。しかも当該ゲームは日常生活において知名度があるため、係争商標を登録した際に被告は善意であると考えにくい。さらに被告は同時に「王者栄耀」、「王者」又は「栄耀」という商標を複数出願しただけでなく、被告の法定代表者は貴州王者栄耀酒業有限公司の法定代表者を兼任している。よって、被告が係争商標を出願した際に主観的な悪意があると認定した。
上記をまとめて、係争商標は北京知的財産裁判所は係争商標の登録は原告の作品名「王者栄耀」の権利を侵害し、商標法第32条の規定に違反した。また、商標法第44条第1項に規定された状況ではないため上記のように判決を下した。
※第44条第1項:登録された商標が、この法律の第十条、第十一条、第十二条の規定に違反している場合、又は欺瞞的な手段若しくはその他の不正な手段で登録を得た場合は、商標局は当該登録商標の無効宣告を行う。その他の単位又は個人は、商標評審委員会に当該登録商標の無効宣告を請求することができる。
※第32条 商標登録出願は、先に存在する他人の権利を侵害してはならない。他人が先に使用している一定の影響力のある商標を不正な手段で抜け駆け登録してはならない。
(北京知財裁判所のプレスリリースより引用編集)
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