ブルガリ、中国で商標訴訟に勝訴
先日、広東省高級裁判所は商標権侵害訴訟と不正競争訴訟の二審の審理を終了し、イタリアのジュエリーブランド「ブルガリ」は馳名商標であると認定し、分譲住宅の販売における商品/役務の区分を超えた保護を認め、湖南省徳思勤投資有限公司(以下、「徳思勤社」という)などの3被告に対して権利侵害を直ちに停止し、原告であるブルガリカンパニーの経済的損失と合理的な権利保護費用300万元を賠償するよう判決を下した。
ブルガリカンパニーは宝飾品を扱うイタリアの会社で、第332078号、第334038号、第340247号の「BVLGARI」という登録商標及び第3811212 号の「BVLGARI宝格麗」という登録商標の商標権者である。これらの商標は第14類の宝飾品や腕時計などの商品に登録されている。ブルガリ商業(上海)有限公司(以下、「ブルガリ上海」という)はブルガリカンパニーがジュエリーの小売などのために2006年に中国で設立した完全子会社である。
ブルガリカンパニーは2014年に、徳思勤社が開発した不動産プロジェクトの外壁やパンフレットなどの目立ったところに「ブルガリ」、「Baogene」、「ブルガリアパートメント」というロゴが使用されていることに気付き、深セン徳思勤不動産会社が自社のウェブサイトで関連の不動産を宣伝しており、ホームページの目立った位置に「ブルガリ」の文字を使用しているだけでなく、高級ジュエリーの画像を同時に使っていることに気付いた。そして、深セン徳思勤実業有限公司は徳思勤社及び徳思勤会社が使用するために、第36類の「取引の受託」などの役務に「ブルガリ」商標を登録した。
2014年10月31日、ブルガリカンパニーとブルガリ上海は深セン中級人民裁判所(以下、「深セン中院」という)に対して提訴し、3被告が商標権侵害と不正競争を直ちに停止し、謝罪の声明書を発表するとともに、2000万元の経済的損失と50万元余りの合理的な費用を共同で賠償するよう要請した。ブルガリカンパニーは本件訴訟を起こした直後に、第36類の「分譲住宅販売等」のサービスに「ブルガリ宝格麗」を含む4つの商標を登録した。一方、一審の審理の間に3被告は依然として係争侵害行為を続けていた。
深セン中院は一審を経て、3被告の行為は第36類におけるブルガリカンパニーの商標に対する権利侵害と不正競争となり、直ちに権利侵害行為を停止し、原告の経済的損失及び合理的な支出として合計100万元を賠償する判決を下した。
ブルガリカンパニーと徳思勤社はどちらも第一審の判決を不服として、広東省高級裁判所に控訴した。広東省高級裁判所は二審を経て、第14類の「装飾品(ジュエリー)、時計」におけるブルガリの商標「BVLGARI宝格麗」は、中国国内では馳名商標のレベルに達したため、区分を超えて保護される必要があると認定した。よって、3被告はブルガリカンパニーに対し経済的損失及び権利保護費用として合計300万元、ブルガリ上海に対し経済的損失及び権利保護費用として合計10万元を賠償する判決を下した。
本件訴訟を審理した広東省高級裁判所の裁判官王暁明氏は、裁判の焦点は、被疑侵害行為の本質は何なのか、「BVLGARI宝格麗」という商標は馳名商標だと認識されるべきか、区分を超えて保護されるべきか、そして賠償額をどう決めるかにあると述べた。
まずは、訴訟直後に第36類「分譲住宅の販売」に「BVLGARI宝格麗」などの4つの商標を登録したのは、一審審理期間内の3被告による権利侵害行為を規制することはできるが、訴訟前の侵害行為は第14類に登録した「BVLGARI宝格麗」で規制する必要がある。
それから、本件訴訟において、ブルガリカンパニーの商標「BVLGARI宝格麗」は長期にわたる使用と大量の宣伝により高い知名度だけではなく、優れた評価を獲得している。係争侵害が行われた時にはブルガリは既に中国国内でよく知られる商標になっており、「馳名」のレベルにも達している。3被告は「ブルガリ」をアパートメントの名前として販売する行為は、販売対象であるアパートメントがブルガリカンパニーとは特定の関係があるかもしれないと、需要者を誤認混同させてしまい、ブルガリという有名な商標の市場評価を不正に利用して違法な利益を取得し、ブルガリカンパニーの利益を損なうことになる。従って、「BVLGARI宝格麗」という馳名商標を区分を超えて保護する必要があり、3被告は商標権を侵害したと認定すべきである。
最後に、補償額を判断する際には以下の2つの要素を十分に検討した。一つは係争商標のビジネス上の信用度、被疑侵害行為の性質、侵害者の主観的な悪意、権利人が権利を保護するために支出した合理的な費用など。もう一つは馳名商標、特に世界的な馳名商標は本件の分譲住宅の販売による利益における貢献度、係争商標を使用した程度、超えた区分との関連度など、である。これにより、二審は法定の限度額である300万元を賠償金額に決めた。中国の知的財産裁判の「厳しい保護」及び「比例調整」の司法政策の真の意味を反映し、有名ブランドを適切に保護するのが目的である。
(人民法院報より引用編集)
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